2018年3月19日 

平昌パラ2018:ノルディックスキー(総集編)

課題も可能性も見えた10日間。次への糧に

混合リレーで4位に入賞し、笑顔で終えた(左から)新田佳浩、出来島、阿部、川除

パラアスリートが躍動した、平昌冬季パラリンピックは18日、平昌オリンピックスタジアムで行われた閉会式をもって、10日にわたる熱戦に幕が下りた。

8年ぶりに金メダルを獲得した新田佳浩

ノルディックスキー日本代表は男子6名、女子3名。3種目行われたクロスカントリースキーには全9選手が出場し、男子立位の新田佳浩(37=日立ソリューションズ)が10kmクラシカルで金、1.5kmスプリントで銀とメダル2個を獲得し、2010年バンクーバー大会以来、8年ぶりの金メダル奪還。ソチ大会で最高4位に終わった悔しさをバネに過酷なトレーニングに挑み、「逃げ出したくなるくらい、苦しかったが、4年間よくがんばったと思う」と自己評価した。

新田のほかに入賞は女子立位の出来島桃子(43=新発田市役所)の7位のみ(15kmフリー)にとどまるなど、春スキーのような緩んだ雪質などにも阻まれ、全体的に厳しいレースが続いた。

今後の飛躍が期待できる川除大輝

初出場の川除大輝(17=富山県立雄山高)が2種目で9位、1種目は10位と入賞まであと一歩と健闘し、出場2回目の岩本啓吾(22=東京美装興業)は出場2種目とも18位と前回ソチ大会より大きく順位を上げた。二人とも、「自分の力を出せた」と笑顔。さらなる成長に期待したい。

ソチ大会では出場のなかった視覚障がいカテゴリーに高村和人(35=岩手県立盛岡視覚支援学校)が初出場。藤田佑平ガイドと磨いてきたチームワークで、「ベストの走りができた」と振り返った。

荒井秀樹監督は1998年長野大会以来、6大会連続でメダル獲得を果たしたチームを評価。特に、37歳にして世界の頂点に返り咲いた新田については、「世界でもあまり例がない。すごいアスリートだし、尊敬している」と称えた。

また、スキーは個人競技だが、サポートスタッフの献身なくしては成立しないチーム競技であると強調。オリンピックコーチ経験もある長濱一年ヘッドコーチや佐藤勇治ワックスチーフをはじめとしたチームスタッフ、国立スポーツ科学センター(JISS)との連携、スキーのワックス選択に不可欠な天気情報を提供したウェザーニューズ社など、「チーム一丸となって戦えた」と感謝した。

パラリンピック初入賞するも、悔しさをみせた佐藤圭一

自然環境に翻弄された、バイアスロン

3種目が行われたバイアスロンには6選手が出場したが、佐藤圭一(38=エイベックス)がロング15kmで8位入賞を果たしたのが最高と、苦戦した。特に射撃は、阿部友里香(22=日立ソリューションズ)がショート6kmで満射した以外は、強風にも悩まされ、全選手とも命中率が低かった。

冬季3大会連続出場の佐藤は、「射撃で結果が出なかったのが悔しい。次に向かって出直す」と再起を誓い、阿部も、「全部出し切ろうと思ったのに歯がゆいレースばかり。課題があるということは、まだ上にいけるチャンスがあるということ。しっかり理解して、一皮むけるような動きにつなげたい」と前を向いた。大きなフォームで力強い走り見せた出来島は、「(射撃でも)風への対応など、やるべきことはやった結果」と振り返った。

懸命な滑りをみせる新田のんの

初出場の新田のんの(21=北翔大学スキー部)は「射撃はよかったが、走りはダメ」と嬉しさと悔しさが混じった涙を見せた。同じく初出場の星澤克(18=北海道立命館慶祥高)は、最初2種目は悔し涙を見せたが、最終種目では、「悔いの残らないレースができた」と笑顔。ともにさらなる成長を誓う。
瀧澤明博バイアスロンヘッドコーチは低い命中率について、「風など目まぐるしく変化する環境により、選手は照準合わせに迷いが出たようだ」と分析したうえで、しっかり当ててくる海外勢との練習場所や練習量の差を苦戦の一要因に挙げた。バイアスロンは「自然環境の中で、走って、撃つ」競技だが、日本の射撃場は屋内など天候の影響を受けない環境の施設が多い。また、「走って撃てる」の施設は少なく、実戦感覚の養成は難しい。

荒井監督はさらに、「結果は厳しく受け止めている。選手は非常に頑張っていたが、サポートスタッフや指導体制など抜本的な見直しを進めたい」と、開いてしまった世界との差を埋める決意を口にした。

また、射撃についても、「練習から、ライバルの存在や試合のような緊張感ある状況が必要。いきなり大会に出ても結果は残せない」と、選手層の薄さやパラ選手対象のバイアスロン大会がないことを問題視。他国の例を参考にしたジュニア発掘策や、アメリカが北米大会を開いているように、韓国や中国と連携してアジアでの大会を開催し、長期的な強化につなげたいとした。

男女混合リレーでみせたベテランと若手の強いチームワーク

なお、大会最終日の18日に行われた、クロスカントリースキー男女混合リレー(2.5kmx4)には、新田、出来島、阿部、川除のオーダーで出場し、過去最高の4位入賞を果たし、日本の存在感を世界に示した。新田は「皆が、自分の力以上の力を発揮した。次につながるレース」と手応えを口にし、レースに出場しない選手が用具運びや応援で走者をサポートする姿も見られた。10日間にわたる大会をチーム一丸で締めくくった日本。今後の奮起に期待したい。

(文・星野恭子、写真・竹内圭/岡川武和)
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