2018年8月10日

GIO2018ウィルチェアーラグビー世界選手権(6日目)

日本、歴史に一ページ刻む世界一

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選手、スタッフ一丸となって世界一を掴んだ日本チーム

8月10日(現地時間)、GIO2018ウィルチェアーラグビー世界選手権の6日目、日本はオーストラリアと決勝で戦い、62-61と死闘を制し、初めて世界の頂点に立った。3位決定戦も行われ、アメリカがイギリスを47-36で下し、銅メダルを獲得した。

ライリー・バットと競り合う日本のエース池崎大輔

地元オーストラリアの優勝を見ようと黄色と緑色に染まった会場で決勝戦は始まった。予選リーグで13点差をつけられ敗れた日本は全ての試合のスタート起用した池崎大輔(3.0*)、池透暢(3.0)、乗松聖矢(1.5)、岸光太郎(0.5)のベストなラインで強敵オーストラリアに挑んだ。1ピリオドから日本のエース池崎(3.0)や島川慎一(3.0)からターンオーバーを取られるなど世界ナンバーワンプレイヤーと呼ばれるライリー・バットのスピードとパワーの前に我慢な時間が続く。

14-15と1点差で迎えた2ピリオドで試合の流れが変わる。「準備がよかった。試合前にグッドなミーティングができて、流れが変わりそうな時にタイムアウトをとってゲームプランに沿って戦うことができ、リズムに乗れた」とケビン・オアーヘッドコーチ(HC)が話すように序盤から積極的にプレッシャーをかけ池崎がライリーからターンオーバを奪いトライを決め、同点に追いつくと効果的に4回あるタイムアウトを使いながら日本の流れを維持し、32-28で前半を折り返す。

常にチームを信じ、引っ張ってきたキャプテン池透暢

地元の大声援が背中を押すようにオーストラリアが日本に襲いかかる。日本ボールで始まった3ピリオドは池崎のトライで5点差をつけたが、パスミスや12秒バイオレーションを2回してしまい、40-41と逆転される。会場は「オージ!オージ!」と鳴り響き、オーストラリアに勢いがつくと思った時にゲビン(HC)が「Believe!Believe!」とベンチ全員に大きな声で連呼し、ベンチからも大きな声をコート上の選手にかけると池のパスカットから島川がトライし2連続得点で再逆転。45-44の1点差で勝負は最終ピリオドに。

池崎と抱き合うベテランの島川慎一

オーストラリアボールでスタートしたが、ローポインターにボールが渡った瞬間に池崎や池がすかさずボールを奪いに囲い、ヘルドボールで所有権が日本に。池崎のアシストで乗松がトライを決め、2点差としたが、オーストラリアのクリス・ボンド(3.5)に池崎が出したパスをカットされ3連続トライで49-50と逆転される。残り3分に相手のパスが相手チームの頭にあたりコート外に転がり、日本ボールとなり、56-55で逆転。1点リードしたまま62-61で初めて世界一の頂点に立った。


喜びを分かち合う日本チーム

エースの池崎は「素直に嬉しい。」と第一声から始まり、「(自分は)ミスもあったが仲間に助けられた。大会通じて一つ一つ成長した結果、最後まで諦めない日本の方が強かったのかなと。たくさんの応援が自分たちの背中を押してくれた。優勝できたことで恩返しできたことは嬉しい」と目頭を熱くしながら語った。

キャプテンの池はこの試合の勝因を振り返った。

「オーストラリアに追い詰められるシーンもあったが、もう一回逆転できると信じ続けることができた」

今後について「世界一というのはこの瞬間だけだと思っている。まだまだ未完成なので、成長を続け、次もチャンピオンを狙えるように頑張っていきたい」とその目はすでに次を向いていた。

初めて追う立場から追われる立場になった日本。最年少の16歳橋本勝也(3.5)のように若手や代表を目指している選手が今の代表選手を脅かす存在になれば、更に東京パラリンピックの金メダルが近づくだろう。「ここがスタートライン」と池が考えるように悲願の達成へ、日本チームは再び走り続ける。

【結果一覧(6日目) 】
決勝 JPN 62 - 61 AUS

1位 日本
2位 オーストラリア
3位 アメリカ
4位 イギリス
5位 フランス
6位 カナダ
7位 デンマーク
8位 スウェーデン
9位 ポーランド
10位 コロンビア
11位 ニュージランド
12位 アイルランド

(文・写真、岡川武和)

ウィルチェアーラグビーは、頚椎損傷をはじめ四肢に麻痺ある人のためにカナダで考案された車いす競技の一つで、2000年のシドニーパラリンピックから正式種目としても採用されています。その特徴は車いす競技で唯一、車いす同士の“タックル”が許されており、激しくぶつかり合うコンタクトスポーツだということです。北米では「マーダーボール(殺人ボール)」とも呼ばれています。

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